柳ヶ瀬舞の日記

日記などの備忘録

あなたは美しかった

いままでの人生で嫉妬という感情を抱かずにすんできた。
たった一度を除いて。
それは幸運なことだと思った。

 

幼いころから「異常」とか「おかしい」とかレッテルを貼られてきたので、他人と比べられること自体あまりなかった。
母は「誰かを妬んだり僻んだりしてはいけません」と言われ、兄は「他人と比べてどうするの。そんなこと考えているヒマがあるなら本でも読めば」という家庭環境で育ったことは幸運だと思う。

 

私はたった一度、嫉妬という美しいひとに身を任せたくなった。
SNSをさまよっていた。初恋のひとのパートナーが本棚を一部公開していた。
私も全部持っている作家の本がずらり。そのとき嫉妬は美しい顔をしていた。

なぜ私が選ばれず、あなたが選ばれたのか。
私が愛されず、あなたが愛されているのか。

そんなことを考えて、嫉妬という感情にのまれたら楽になるだろうと思った。
でも、欲しかったものは、答えは嫉妬ではなかった。

私は急いでブラウザを閉じて、何事もなかったように過ごそうと思った。

嫉妬、あなたは美しかった。
だからもう二度と見たくない。あなたの本性は醜いものと私は知っているから。